バイオ納豆堂がエモイ

深く傷ついたものの慟哭。それでも虫一匹殺せないその切なさ。

これをエモいっていうんだぜ。 どういう生き方したらこんな漫画描けるんだい?って気さえしたけど、深く傷ついた経験のある人間にしか書けない味のある作品だと思った。 絵は雑だし、決して万人受けする感じじゃないんだけど、それでもこのストーリーにひかれる人間は一定数いると思う。 傷つく痛み。傷つけたいけど、傷つける事すら恐れる痛み。その両府が混在した感情の中で彼女が最後に取った行動はなんとなく共感できてしまうんだよね。 どこか内罰的で自傷的な作品だけど、でもそれを漫画に落とし込んでくれてありがとうと思ってしまった。俺も傷を持つ人間の一人だけど、きっとバイオ納豆堂さんもそういった生きずラサを抱えながら、葛藤を書いているに相違ないんだろう。人はいつだって、痛みと対峙せずには生きられないのだから。つらい。 俺もつらいよ。でもこういった作品を見つけることができてよかった。DL数はもしかしたらそれほど多くはないのかもしれないけど、地味な傑作を見つけてしまったような感じがして、これからもかき続けてほしいサークルだと思ったし、俺も追っかけていこうと思ってしまった。どうか健康でいてください。 痛みやいじめの代償として内罰的に体を売る少女の、どこか投げやりになった輪姦と、それと相反するような体の痛みを取るために虫を殺す殺さないというシーンには少し感動してしまった。そこでどういった反応をするのかといった対応はなるほどと言った次第ですね。 自由に生きるという選択肢は確かにありだなと思った。自由に生きていいんだよって感じだよね。痛みから逃げていいし、痛みから逃げるべきなんだよな。苦痛から逃げて助けてって言えないからこそ彼女たちは苦しみの中で自由に生きる苦しみの中で邪魔でしかないのにね。さみしいね。何もできなくてさ。助けてほしいよね、正直言ってさ。壊れてしまうような苦しみさえ、逃れられないような苦しみさえ、彼女は解放してあげる道を選ぶことができたのだから。 そんなわけで、過負荷をあたえられて、こわれそうになりながらも必死に抗い続ける一人の少女の物語なんだけど、それがあまりにも現実的過ぎて目をそむけたくなるような作品なんだけど、そこが逆にリアルで面白いんだよね。見ていてリアルすぎて怖い。快感を感じている様子もないしね。お勧めの作品です。ぜひ買ってみてください最高です。

書いた人 関口小雨