これだけの熱量と叡智とSFと伝奇に関する造形がありながら、エロ同人に全振りしながら、流行のアレも取り入れるというパーフェクトな出来の作品。 今回はこの作品を読み解いていく。
基本にあるのは伝奇とSFであり、かぐや姫と流行のSEXしないと出れない部屋と社会問題である
あまりに多くのテーマを内包しているがゆえにシンプルに考えると、つながってはいけないものがつながったが故の悲喜劇ということになるのだろうか? くえんという宇宙人と、主人公という地球人が、どうしても時のはざまの中で会えずじまいの中、盟約を交わし、最終的にSEXしないと出られない部屋に閉じ込められ、地球の仲間によって救い出され、見事、その部屋から脱出することに成功する。
ものすごくシンプルに描くとこうなる
主人公が不細工でなければならないとか、この作者の特徴だし、 主人公が主人公であるゆえんは、犬を助けるエピソードやクエン文書で十分発揮されているし、 様々な人間関係などで主人公である必要性は助けられる必要性を満たしているように思う。
クエンとはやれないお姫様の象徴?(つまりかぐや姫)
クエンとはやれないお姫様の象徴?(つまり性には奔放だけど、子供を作った経験はなさそうなそんな印象を受けることから、 やったことはないお姫様の象徴として描かれているように思う。 その証拠に鉄の橋がたつまで性交禁止と言われているし。 異常のことから、クエンとはやれないお姫様(口淫)くらいまでのお姫様としてのメタファーと言えるのではないでしょうか。同時に月に帰るまで無理難題を言って通す存在のようにも見える。
一方で社会問題をふんだんに表現していて
捨て子、捨て犬、非正規社員、童貞問題、食えない労働者、孤独の問題など様々な問題が浮き彫りになってきている。こんなにも悲しくてさみしい漫画があっただろうかと思うほど現実を表したシーンを表現するのも珍しい。
特に主人公の境遇は最初からくえんの供物にされるために預けられたのではないかと思わずにはいられないほど、最初のシーンから一貫して合致している部分があるし、実際その通りな気がするので、島一番の不細工な男がくえんの供物にささげられた後、島を出てしまった後、非正規社員として、孤独に暮らす表現にいくつかのエクスキューズがあったのは救いだったように思う。普通ないからね。非正規社員になって、誰ともつながることなく楽しい思い出だけをばねにして孤独に死んでいく。楽しい思いですらなく死んでいく。そんな人生が大半な世の中である。
一方で社会の光の部分に焦点を当て
文明の発展の速さや、小説家になった友人。主人公が捨て子だった時に救ってくれた人が家庭を持った話や、友人が出家した話。そして友人がロケットを飛ばし実際にいるかどうかもわからない座標から主人公を助け出すことになるに至るエピソードにつながるわけで、すべてがつながるといっても過言ではない。計算しつくされた構成になっている。暗いばかりではない光と影の両面に焦点を当てた作品になっている。
物語は結末へ
さて部屋から出るにはどうすればいいのかという話なわけだが、詳しい仕組みはまぁ、小難しい理屈があるので読んでみて判断してほしい。ちゃんと読めば理解できる。なるほどなぁ、そういう解釈の仕方があるのか、と思った。 そして精液の汁の天の川。
すごいよね、この発想が。 ぜひ最後まで読んでほしい。すごい作品でした。次回作が楽しみすぎる。